愛知県安城市の中霧島壁、セルローズファイバー断熱材でつくる自然素材の家「ツクヨミクリエート」代表の高橋です。今回は、「工事監理の重要性」についてお話を。
設計事務所の仕事として「工事監理」があります。ややこしいですが 設計事務所の仕事ではない「工事管理」もあります。よく混同されますが 仕事の内容は変わってきます。
簡単にご説明しますと 設計事務所の行う「工事監理」ですが 設計図面通りに工事が進んでいるか 施主様の代理として現場へ通い、工事の確認、チェックや打合せ等を行います。図面通りに施工されてなかったり不具合箇所があれば施工会社に指示したり調整を行ったりします。お施主様の代理ですので当然のことながら お施主様の味方です^^「工事管理」は施工会社(建築会社や工務店)が 工程管理や原価管理、安全管理等、主に現場監督さんが行う仕事になります。
設計事務所にご依頼される場合、施主様の代理となり 設計事務所が「工事監理」を行いますが、ハウスメーカーや建築会社、工務店さんに直接 ご依頼される場合、「工事監理」と「工事管理」の両方を その会社が行う事になります。チェックする側と施工する側が 同じ会社です。どう思われますか?この場合、施工会社を信用して全てをお任せするしかありません。
それを良しとするかは施主様のご判断になりますが、こういった仕組みを知らずに家づくりをされる方がとても多いように思えます。第三者的立場でチェックをすることが重要だと思います。「今では瑕疵担保保険の検査があるから大丈夫。」と説明される施工者さんもいるかと思いますが 瑕疵担保保険の検査は 配筋検査と躯体検査の二回の検査がほとんどです。その他の工事部分は 誰がチェックするのでしょうか?
と、前置きが長くなりましたが 工事監理の重要性がよくわかる事案がありますのでご紹介させていただきます。
「施工会社に知り合いがいて そこに工事をお願いするが建築確認申請をその会社では出せないので代理申請をお願いしたい。」というご依頼もたまにありますので引き受けたりもしています。その場合、当社が監理業務を行います。基礎配筋工事が完了したと施工会社様より連絡を受けましたので配筋検査を行ったのですが、当社が作成した基礎配筋図と仕様が変わっておりました・・・。
仕様が良くなっているのであれば問題ないのですが 鉄筋の径を13mmで指定していたものが 10mmと太さがダウンしておりました。しかも、人通口の位置まで違う・・・。施主様のお知り合いの施工会社で 金額や仕様の関係でお施主様と施工会社で 決めた事で この基礎配筋がその会社の仕様という事も考えられましたが お施主様にお渡ししている図面と相違があるため、施工会社と施主様にご報告しました。
数時間後に 施主様よりご連絡あり、どうやら鉄筋屋さんが間違えて施工されたようです。その施工会社の基礎配筋がいつも鉄筋径が10mmの仕様で そう思い込んで施工してしまったようです。施主様は「全部やり直してもらう」と怒ってましたが そうすると工事期間も伸びてしまいますので 壊すよりこの様にした方が当初の計画の物より基礎が丈夫になりますし、工程もそれほど伸びませんがどうでしょうか。というご提案をさせていただきました。後ほど、施工会社より連絡あり 提案通り施工してもらう事に決まりました^^
当然の事だとは思いますが、施主様は基礎配筋が10mmなのか13mmなのかも知りませんでした。多くの施主様は 構造に関してはノータッチで施工会社にお任せだと思います。私も久しぶりに鉄筋径10mmの配筋を見ました。鉄筋径10mmが違法というわけではないので勘違いしないでくださいね。
このような事は基礎工事以外にも起こり得る話ですが、チェック体制が施工者寄りですと そのまま進んでいってしまう事もあります。それを知らされずに家は完成してしまいます。施主様が 工事に関して疑問に思って相談しても「これが普通です。」と言われたら 建築の素人である施主様はどうする事も出来ませんが そこに設計事務所が入っていれば 相談する事も出来るし適切に指摘する事が出来ます。
「工事監理」という言葉を初めて聞いたという方もいらっしゃると思いますが「工事監理」の重要性を知っていただき、ツクヨミクリエートにご相談いただければと思います! 今回は基礎のお話でしたが 断熱工事は特に理解されていない施工会社がまだまだ多い施工部分です。また近いうちに断熱に関しても記事をアップしたいと思います!